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2022年4月2日土曜日

Studiolo『変形菌』

変形菌─朽ち木の上で起きる驚異の生活史

変形菌は、動物・植物・菌類のいずれにも属さない。
不思議な「アメーバの仲間」である。
胞子から出たアメーバ状の細胞が増殖し、
やがて巨大な一細胞の「変形体」となって移動し、
最後に子実体を作って胞子をばらまく。
特異な性質を持つ生き物である。
かつては変形菌はキノコの仲間と考えられていたが、
現在は菌類ではなく、アメーバ的な生活をする生物として理解されている。
条件がそろうと胞子はアメーバ状になり、
餌となる細菌などを食べながら増殖する。
やがて飢餓状態になると子実体を作り、
次世代へとつなぐ。「食べる段階」と「胞子を作る段階」が
まったく異なる姿をしているのが、最大の特徴である。
オートミール買ってくる!


温度管理… ちょっと難しそうだ。

観察のタイミングと場所
観察に適した時期は、雨上がりの晴れ間、特に梅雨から夏(6〜10月頃)である。
場所は落ち葉や朽ち木、樹皮の裏など、
樹々に囲まれて適度に風通しの良い環境が狙い目。
道具としてはルーペが必須であり、
ポストイットに種名を書き留めておくと記録に便利。

初心者でも見つけやすい代表種
名前と色・形をセットで覚えると、現場での同定がぐっと楽になる。
イタモジホコリ:黄色〜オレンジの不規則な網目。「移動する黄色の網」と覚える
シロジクホコリ:白く、短い柄の先に粒状の胞子嚢
ムラサキホコリ:紫〜暗紫色の、もじゃもじゃした毛のような塊
ウツボホコリ:ピンク〜オレンジのアイスバー状の子実体が連なる
ホソエノヌカホコリ:未熟体は卵黄のような黄色で、約2mm
変形菌の名前は、だいたい「○○ホコリ」で終わる。

これは胞子がホコリのように舞うことに由来する。
色で絞れば、黄色系はイタモジホコリ、白系はシロジクホコリ、
紫はムラサキホコリ、ピンクはウツボホコリ、というように候補が絞りやすい。

同定の基本ポイント
同定では、子実体の全体形、柄の有無、群生か単生か、
色、網目や斑紋の有無、胞子嚢の形、細毛体の発達、
基部の膜や仮根の様子を確認するのが基本である。
種によっては顕微鏡で胞子表面の刺や網目、細毛体の分岐などが決め手となる。
現場では「似ているが別種」が非常に多いため、
写真は全景・側面・アップをセットで撮っておくと後の同定に役立つ。

観察会で使える豆知識
・変形菌は、見た目が植物っぽくても、食べ方は動物っぽい生物
・一粒の胞子から、巨大な一つの細胞になることがある
・キノコみたいだけどキノコじゃない、アメーバみたいだけど普通のアメーバでもない
・1つの生きものの中に、“移動する時代”と“子孫を残す時代”がある
「菌」が付くのに菌類ではない、という点も無視できない。

観察会では、ホソエノヌカホコリの卵黄のような未熟体を先に見せ、
その後に成熟した黄色い子実体を見せると驚きが大きい。
同様に、ウツボホコリを「アイスバーだ」と紹介してから
実物を見せる演出も盛り上がる。
可能であれば、イタモジホコリの黄色い網目が飢餓状態で動きを止め、
子実体へと変化する様子を飼育で示すのも面白い。

文化的背景──南方熊楠と変形菌
日本の変形菌文化を語る上で欠かせないのが南方熊楠である。
熊楠は粘菌・変形菌の研究を深め、
1917年には自宅の柿の木で見つけた粘菌が新属として認められ、
後に「Minakatella」と命名された。

飼育と最近の懸念
変形菌は飼育も可能で、寒天や湿らせたキッチンペーパー上で維持し、
オートミールなどを与える方法が知られている。
ただし温度変化に弱いため、安定した環境管理が重要である。

近年は温暖化や乾燥化により発生環境が変化することが懸念されている。
特に積雪環境に依存する好雪性変形菌では、
積雪条件の変化が発生機会の減少につながる可能性が指摘されている。
見つけにくく環境変化の影響を受けやすい変形菌だからこそ、
「どこに・いつ・どの状態で出るか」を積み上げていく市民調査の重要性が増している。

朽ち木や落ち葉の下に広がる、小さくも奇妙な生命の世界。
ルーペは必須。忘れないように。

・日本約250種、世界約400種(別資料では世界約1000種、うち半数が日本、とも)
・目レベル:ケホコリ目、モジホコリ目、オオムラサキホコリ目、タマホコリ目、ムラサキホコリ目など
・観察会では「目」を当てるより、子実体の形・色・付き方から属/種候補を絞っていきたい

 同定チェック項目
全体形
・柄の有無
・群生/単生
・色
・網目・斑紋の有無
・胞子嚢の形
・細毛体の発達
・基部の膜・仮根の様子
・種によっては顕微鏡で胞子表面の刺・網目、細毛体の分岐
→ 似た別種が多いので、写真は全景・側面・アップの3点セットで撮る

観察条件
時期:雨上がりの晴れ間、梅雨〜夏(6-10月)
・場所:落ち葉・朽ち木・樹皮の裏、風通し良好な場所
・道具:ルーペ必須、ポストイットで種名記録

変形菌(変異体)見つけた。 取り敢えず、自宅に持ってきた。 今、発泡スチロールの箱の中にいる。 多分今夜あたり、箱から這い出た変形体に、アテクシは食い尽くされるんだろう… いや、餌は植物性の物だからそれはないか。