2025年6月8日日曜日

ギンメッキゴミグモ

ギンメッキゴミグモ(Cyclosa argenteoalba

クモ目
コガネグモ科
ゴミグモ属
ギンメッキゴミグモ

『オスは交尾後,メスの生殖器を破壊する』

ギンメッキゴミグモは日本全国(北海道から南西諸島まで)に分布し,
体長はメスが約6〜8mm,オスは約4〜5mm.
特徴は腹部に銀色の金属光沢の帯模様があり,周囲は黒色や褐色で縁取られていること.
網は垂直に張られた円網で,中央に獲物の残骸や糸くずなどを,
「ゴミ」として縦に並べる習性があり,クモ自身もその中に紛れて静止し,
外敵から姿を隠す擬態の効果が高いと考えられている.
特に太陽光の下で銀色の腹部が目立ち,晴れた日の午前中が観察に適している.
特徴的な行動として,網の中心で頭を上に向けて止まることや,
網が上下非対称で上半分が大きいことも挙げられる.
これによりすばやく獲物に到達できるとされている.
写真が撮りにくい光物


豆知識
オスは交尾後にメスの交尾器を破壊し,他のオスとの交尾を防ぐという驚くべき行動をとる.
この行動は自分の子孫だけを残すための策略.

最近の研究では体色の変異が注目されており,春は銀色の個体が優勢だが,
夏にかけて黒色率が高い個体が増え,秋に減少する.
黒色の個体は,夏季は直射日光のあまり当たらない場所に網を張る傾向がある.
黒色率の変動は餌の捕獲効率や,網の場所選択に影響しており,
体色の多様性は環境適応の一環と考えられている.

ギンメッキゴミグモの銀色と黒色個体を観察時に見分けるポイントは以下の通り

銀色個体は腹部に明確な銀色の金属光沢を持ち,太陽光の下で特に光り輝く.
体色は全体的に明るく,晴れた日の日光の中でよく目立つ.

黒色個体は銀色部分が黒や濃褐色に変わり,銀色の光沢が弱まっているため,
全体に暗い印象.黒色率は夏季に増加し,網を直射日光の弱い陰の場所に張る傾向がある.

観察の際は,晴れた午前中に銀色個体の光沢を確認し,
夏場の日陰や林下などで黒色個体を探すのが効果的.

体色の違いは環境適応の一環であり,体色だけでなく網の張る場所(日光の有無)や,
季節的な出現頻度も合わせて観察すると個体の識別に役立つ.

ギンメッキゴミグモの繁殖行動は,オスがメスの網に入って網の縦糸に交尾糸をつなげ,
それを脚ではじいて「恋の糸電話」を送る求愛行動から始まる.
メスが交尾糸に反応して近づくと,オスは素早く交尾する.
複数のオスが一匹のメスに求愛することもあるが,交尾に至るのは一部.
ここまではロマンチックかもしれんけど…

交尾後の習性として,オスはメスの交尾器(生殖器の一部)を破壊する行動が,
非常に高頻度(約90%)で見られる.
この交尾器破壊により,メスは以後他のオスと交尾できなくなり,
オスは自分の精子だけで子孫を残すことができる.
交尾器が破壊されてもメスの産卵能力には影響せず,メスは産卵を続ける.
交尾の機会が限られている中で,自分の遺伝子を確実に残すための,
進化的適応と考えられている.
とは言っても,ねぇ?

2025/05/25
岐阜県美濃加茂市山之上町7559番地(みのかも健康の森)
メッシュコード 5337-2002
緯度・経度 35°30'13.8"N 137°01'42.1"E

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